ポリエステル樹脂塗料 について
1 ポリエステル樹脂塗料 とは?
1-1 ポリエステル樹脂 にも種類がいくつかあります
ポリエステル樹脂とは、多塩基酸と多価アルコールを重縮合させ、内部にエステル結合を有する樹脂のことです。
代表的なものとしては、テレフタル酸とエチレングリコールから製造されるポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で、ペットボトルとして使用されています。
塗料としては古くから脂肪酸と多価アルコール、フタル酸等からなるアルキド樹脂が使用され、アルキド樹脂塗料としてよく知られています。
1-2 アルキド樹脂塗料 (フタル酸樹脂塗料)
アルキド樹脂はポリエステル樹脂の一種で、低価格で使いやすく、一定水準の性能も満たす事から塗料用樹脂として最も広く使用されてきました。
防食分野を中心にフタル酸樹脂塗料とも呼ばれることもあります。
通常、塗料に使用する樹脂には酸成分として油の脂肪酸を含み、油長(油の含有量)の大きいものから長油性、中油性、短油性に分類されます。
油 性 | 油含有量 | 特 徴 |
短油性 | ~45% | 塗膜艶、硬さに優れる。焼付型の塗料が多い。 |
中油性 | 45%~55% | 短油性と長油性の中間的な性質。 |
長油性 | 55%~ | 粘度が低く、作業性に優れる。耐水性や耐薬品性には劣る。 「合成樹脂調合ペイント」としてJIS規格化されており建築・構造物用途料の中塗り、上塗りとしてよく用いられる。 |
1-3 オイルフリーポリエステル樹脂
オイルフリーとは脂肪酸を含まない事を意味しており、オイルフリーアルキド樹脂とも呼ばれます。
アルキド樹脂の脂肪酸残基は、樹脂の相溶性や顔料との湿潤性を向上させますが、耐汚染性や耐溶剤性を低下させるため、硬度とたわみ性の両立が難しくなります。
そこで、性能のバランスを確保するために、脂肪酸を含まずに設計されたものがオイルフリーポリエステル樹脂です。
2 ポリエステル樹脂塗料 のメリットとデメリット
2-1 ポリエステル樹脂塗料 のメリット
●ポリエステルもポリウレタンも、2つの液を混ぜ塗膜を形成する
ポリエステルもポリウレタンも、2つの液を混ぜた反応による硬化で塗膜を形成する。
比較するとポリエステルの方が硬化が速いため、塗膜を厚く塗り重ねる工程が容易になる。
手間と時間が節約できる為、大量生産に向きコストも低くなり廉価版のギターに用いられ易い。
●傷が付きにくい
厚く、硬い塗膜を形成することができるため、傷が付きにくい。
2-2 ポリエステル樹脂塗料 のデメリット
●楽器などの塗装に不向き
厚く硬い塗膜は、振動を阻害してしまう可能性がある為、楽器に向いた塗装とは言い難い。
●割れやすい特徴がある
傷には強い塗膜だが、衝撃には弱く割れやすい。