上塗り について。
1 上塗りとは?
1-1 外壁塗装で上塗り塗料は絶対に必要
上塗りの役割としては、中塗りで生じた色ムラや気泡を覆い隠し、雨風や汚れから外壁を守るといった機能が主に挙げられます。
上塗りは家の外観を決定付ける工程であり、外壁の色やツヤがどう仕上がるか?
上塗りで決まると言っても過言ではありません。
近年遮熱性が高い塗料、汚れに強い塗料など適材適所な機能を持つ上塗り材も多く御座います。
生活環境に応じた塗料を選んで上塗りをされることをおススメ致します。
塗料の種類によってはさらにもう2回と上塗りを繰り返す塗料も御座います。
※フッ素塗料などで上塗り材に保護機能が無い場合に保護塗料を塗ります。
2 上塗り 塗料の種類
上塗り材の種類として代表的なものを3種類ご紹介致します。
2-1 ウレタン塗料
ウレタン塗料はポリウレタンと呼ばれる物質を主成分としています。
ポリウレタンという言葉を一度は耳にした事がある馴染みがある方も多いでしょう。
ポリウレタンは塗料だけでなく、衣服、断熱材、接着剤など、幅広く使用されています。
幅広く使われているのはウレタン塗料も同じです。
ウレタン系塗料の一番のメリットは、樹脂が柔らかいことです。
ほかの塗料と比べて塗膜が柔らかいと、密着性に優れ、時間とともに形が変わってしまう木材にも対応でき、ひび割れの発生を抑える機能が高いと言われています。
他の塗料に比べて艶や光沢が強く、高級感ある仕上がりになります。
高級家具やフローリングの仕上げ材としてもよく使用されているのです。
2-2 シリコン塗料
シリコン塗料は現在日本の戸建て物件で最も使われている塗料です。
シリコン塗料とは、樹脂の主成分にシリコンを使用した塗料のことです。
実際にはシリコンとアクリルの両方が主成分でるため、正確な名称は「アクシルシリコン塗料」といいます。
耐用年数や価格など総合的に見てバランスが良く、外壁塗装では最も多く採用されています。
性 能 | 程 度 |
---|---|
耐候性 | 光沢保持率(※1)が高い。 |
耐候性 | 非常に優れている。 |
耐水性 | 塗膜が硬く、撥水性がある。 |
透湿性 | 透湿性(※2)があるため、 湿気による内部結露やカビを防ぐ。 |
防汚性 | 汚れが付きにくい性質で、雨やホコリなどを弾く。 |
※1「光沢保持率」……塗料の耐候性の評価指標のひとつ、チョーキング(白亜化)と関係が深い事が知られています。
※2「透湿性」……外部からの水分は通さず、塗料の内側に溜まる湿気は外へ放出する働きのこと。外壁材の早期劣化を防ぎやすくします。
シリコン塗料は、耐候性・耐熱性・耐水性などに優れていることから、日々太陽熱や風雨にさらされている外壁、屋根に向く塗材であることが分かりますね。
2-3 フッ素塗料
フッ素塗料は高い耐久性があり、メンテナンスの手間を減らせる塗料です。
費用相場は1平方メートルあたり4,000〜5,000円ほど。
ただし、塗膜がひび割れしやすいため施工する外壁の種類によっては注意が必要です。
3 上塗り 傷んだ外壁に塗料が吸い込まれるのを防ぐ
下塗り塗料は、傷んだ外壁への「塗料の吸い込み」を防ぐ役割も果たしてくれます。
新築から10年以上が経った外壁には大小様々なひび割れや欠損があるのですが、傷んでしまった表面はスポンジのように塗料を吸い込んでしまいます。
上塗り塗料の機能を十分に発揮させ長持ちさせるために必要な「厚み」を付ける事が出来なくなってしまいます。
その結果、塗装面に色や艶のムラが発生してしまい、見栄えが悪くなるばかりか、塗装が薄くなっている箇所に不具合が発生してしまう可能性もあります。
下塗り塗料を使うことで、傷んだ外壁に塗料が吸い込まれるのを防ぐことができます。
上塗り塗料が外壁に吸い込まれる事無く色ムラ・艶ムラのない仕上がりにすることが可能です。
ただし下塗り塗料の使用量が十分でないと、下塗り塗料が外壁に吸い込まれてしまい上塗り塗料が密着しなくなってしまいます。
そのため外壁や屋根の劣化が激しい場合は、下塗り塗料を2回塗るなどの対策が必要です。
(下図参照)
4 塗装の機能を向上させる
上塗り塗料と同様に、下塗り塗料にも様々な機能を持つものが存在します。
代表的なものは「下地表面を固める機能」「防カビ機能」や「防サビ機能」、太陽熱を効果的に反射する「遮熱機能」などです。
住まいの下地や周辺環境にあった下塗り塗料を組み合わせることで、塗装の効果を底上げさせることが可能になります。
5 下地の色を隠すことで、仕上がりをキレイにする
下塗り塗料は現在の外壁色を覆い隠す「隠ぺい性」を持っているものもあります。
例えば濃い色から淡い色に塗り替える場合、もとの外壁(下地)の色が透けてしまい、思った通りの色にならない場合も多々御座います。
そんな場合には、白色の下塗り塗料をたっぷり塗って下地の色を少しでも隠すことで、より綺麗な仕上がりにすることができます。
下塗りは直ぐに見えなくなりますが、その見えな力はあなどれません。
6 下塗り塗料の種類と、それぞれの使用場面
実は下塗り塗料には「シーラー」や「プライマー」などいくつかの種類が存在しており、用途によって最適なものを使い分ける必要が御座います。
基本的には塗装会社が外壁、屋根の劣化状態などに合わせて最適な種類を選んでくれます。
見積もりで提示された下塗り塗料が本当に最適なのか?
事前にある程度把握する事が出来れば、職人に確かな知識があるか?
判断することができます。
ここでは代表的な下塗り塗料の種類とその特徴、使用場面について簡単にご説明致します。
是非、今後のご参考にしてください。
6-1 ウレタン塗料
シーラーという名前の由来が「接着する」「覆い隠す」という意味のSealという英語から来ていますが、密着効果を高めるだけでなく、傷んだ下地に塗料が吸い込まれるのを防ぐ役割もあり、下塗りの大切さがよくわかる塗料です。
下地の傷みが激しい場合はシーラーを2回塗るなどの対策を取ることで、上塗り材を確実に密着させることができます。職人がその辺は現場にて判断を致します。
また、シーラーは大きく分けて「水性タイプ」「油性タイプ」に分類できます。
水性タイプのシーラーは「エマルション型シーラー」とも呼ばれ、最も普及している取扱いが簡単な種類といえます。
水性であるため臭いが少ないことが特徴で、比較的劣化が少ない場合に用いられます。
一方、傷みが激しい下地に使われることが多いのが溶剤タイプのシーラーで、臭いが強い代わりに吸い込み防止効果が高く、乾燥時間も水性に比べて短いのが特徴です。
溶剤は水性塗料と違って、取扱いが難しい塗料になります。
6-2 金属にも使用できる多目的下塗り材「プライマー」
先に説明した「シーラー」と「プライマー」の違いは明確に定義付けられている訳ではありません。
そのため塗料メーカーによってはシーラーとプライマーを全く同じ意味で使っている場合もあり、シーラーと同様に密着効果を高め、下地への吸い込みを止めるために用いられます。
ただ、プライマーとして販売されている塗料の中には錆止め効果を持つもの(錆止めプライマー)もあり、金属下地にはプライマーを使用するというのが一般的です。
6-3 劣化が激しい下地に適した「フィラー」
先に説明した シーラーとプライマーはサラサラの液体であるのに対し、フィラーは真逆のドロドロとした材質の、粉分を含んだ塗料です。
ほとんどが水性塗料ですので水でかくはん機(マーゼル)でよく混ぜてから使用します。
フィラーは基本的には凹凸模様の外壁に用いられることが多く、凹凸の激しい下地を平滑にならしたり、外壁に発生したひび割れが浮き出てこないように覆ったりする役割を果たします。
シーラーやプライマーに比べて厚く塗る必要があるため、ローラーは通常の2~3倍厚く塗ることができる砂骨ローラーと呼ばれるものを使います。
私達はマスチック工法で使用する事が多いので、マスチックローラーと呼んでおります。
6-4 その他の下塗り塗料
上記で紹介した3つの他にも、下塗り塗料には様々な種類があります。
ここでは、代表的なものをいくつか紹介します。
微弾性フィラー
凹凸や段差のある面を滑らかにしたり下地への塗料の吸い込みを抑えたりする効果を持ちます。
また、ゴムのように伸縮性がある材質が特徴で塗膜やひび割れに追従して伸びる事が可能です。
ひび割れからの水の浸入を防ぐことが出来る為、小さなひび割れが発生しやすい吹付け仕上げの外壁には特によく用いられています。
バインダー
あまり傷んでおらず吸い込みの少ない外壁に用いられる下塗り材です。
一般的には新築工事で使用されるケースが多く、築10年以上が経過してからの外壁塗装で採用されるケースはほとんどありません。
※このページを読まれている方にはあまり関係の無い、塗料になります。
サーフェイサー
シーラーなどの下塗り材と上塗り材の間に塗装する塗料です。
シーラーを塗った後の下地の微調整や密着性向上といった効果があるため、傷んでいる下地にはシーラーと一緒に下塗り材として用いられることが御座います。
上記で説明した代表的な下塗り塗料の種類を一覧表にまとめました。
是非、ご参考にしてください。
種 類 | 使 用 場 面 | 特 徴 |
---|---|---|
シーラー | 傷んだ下地全般 | 傷んだ下地に塗料が吸い込まれるのを防ぐ |
プライマー | 傷んだ下地全般、金属下地 | 傷んだ下地に塗料が吸い込まれるのを防ぎ、錆止め効果を持つものもある |
フィラー | 劣化の激しい下地 | ひび割れなどの劣化で凹凸になった外壁を平らにする |
微弾性フィラー | モルタル外壁など | シーラーとフィラー両方の性質を持つ、伸縮性がある |
バインダー | 新築工事など | あまり傷んでいない下地に使用 |
サーフェイサー | 下塗りと上塗りの間に塗る | シーラーを塗った後の下地微調整や密着性の向上ができる |
7 代表的な下塗り塗料をご紹介
最後に、有力メーカーが取り扱っている代表的な下塗り塗料をいくつかご紹介します。
業者に見積もりを依頼する際の参考にしてください。
ハイポン20デクロ | 水性ソフトサーフSG | アレスシリコンクラフト |
変性エポキシ樹脂下塗り塗料 日本ペイント | 水性微弾性ポリマー樹脂 エスケー化研株式会社 | アクリルシリコン系微弾性 関西ペイント |